公開日 2025年08月04日
DNA修復酵素hOGG1によるDNA損傷部位の切除機構を解明
-hOGG1の高速な酵素反応の反応中間体を可視化-
徳島文理大学(学長:梶山博司)薬学部の田中好幸教授、森川雅行助教、服部良一助教(現徳島大学)、茨城大学(学長:太田寛行)学術研究院応用理工学野の海野昌喜教授、チェコ科学アカデミーのVladimir Sychrovsky博士の共同研究グループは、DNA修復酵素「human 8-oxoguanine glycosylase 1(hOGG1)が、酸化損傷を受けたDNA中の「8-oxoguanine(8-オキソグアニン)を除去する分子メカニズムを、X線結晶構造解析、NMR分光法、酵素学的実験を用いて解明しました。
私たちの遺伝子の本体であるDNAは、例えばストレスや紫外線によって体内で自然に発生する活性酸素によりダメージを受け、8-オキソグアニンと呼ばれる、通常のDNAには含まれない塩基が生成します。
このDNAのダメージが放置されると、がんなどの疾患を引き起こす原因となります。
私たちの体の中にはこの8-オキソグアニンを特異的に認識して除去する酵素が備わっています。
その酵素こそがhOGG1であり、遺伝子の安定性を守る「守護神」とも言えます。
今回の研究では、hOGG1を改変して、8-オキソグアニンがDNAから除去される反応の途中段階(反応中間体)の構造を世界で初めて明らかにすることに成功しました。
これまで直接観測することが困難であった反応中間体の構造情報は、hOGG1がどのようにして活性酸素によってダメージを受けたDNAを切断するのかという根本的な理解を大きく前進させるものです。
本研究成果は、英国オックスフォード大学出版の国際学術誌『Nucleic Acids Research』に掲載され、特に優れた論文に付与される「Breakthrough Article」に選出されました。
なお、本研究成果は日本時間【8月4日(月) 9時01分】に『Nucleic Acids Research』電子版に掲載されます【DOI:10.1093/nar/gkaf718】。
研究のポイントや背景、研究手法など詳しくは下記PDFファイルをご覧ください。
発表者のお問合せ先
徳島文理大学 薬学部 薬品分析学研究室
茨城大学 学術研究院 応用理工学野 構造生物化学研究室
報道担当者のお問合せ先
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