公開日 2024年01月11日
新年あけましておめでとうございます。今年も言語コミをよろしくお願いいたします。
お正月には~たこあげて~、コマを回して遊びましょう~、早く来い来いお正月~、と
誰でも知っている歌にあるので、「たこ」や「コマ」は純和風のものと考えてしまいがちですね。
しかし、たこに関しては、1200年代の終わりごろに中国など世界を冒険した
イタリアのマルコ・ポーロ(Marco Polo)が、航海の運勢を占うためにたこをあげた、
と旅行記に記しています。
また、コマに関しても、1560年にオランダの画家ピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel)が描いた
『子供の遊戯』という絵画の中に、まるで日本のベーゴマのようなもので遊ぶ子供の姿を、
はっきりと見ることができます。
新年は、この「たこ」、「コマ」とあわせて、正月によく見かける縁起物の「ダルマ」を
英語圏の人たちにどのように説明したらいいか、考えてみましょう。
まず、たこの起源については、はっきりしないものの、少なくとも紀元前200年代の
漢王朝の武将・韓信が、敵の城までの距離を測定するために、たこを放ったという伝説があり、
遊び道具としてではなく、軍事目的で使われていたことがわかります。
日本には1000年以上前から、たこが伝来していますが、遊び道具として定着するのは江戸時代です。
その頃は「イカのぼり」という名称で、江戸の町(東京)であまりに流行しすぎて、
興奮してけんかなどが多く発生し、「いかのぼり禁止令」が出されます。
ところが、「イカ」が禁止でも「タコ」ならやってもいいだろう、と言い出す人が出てきたことから、
「たこあげ」という言葉ができました。
ちなみに、凧(たこ)という漢字は日本オリジナルのもので、
中国から伝来したものではありません。
では、「凧あげ」に関する簡単な英語表現を考えてみましょう。
日本語の「上げる・揚げる」にこだわると、英訳できないです。凧を「飛ばす」と考えます。
凧あげ:
kite flying
凧をあげる:
fly my kite, fly a kite
正月には近くの河原で凧あげをした:
On New year's Day, I flew a kite on a riverbank near my house.
次回以降は、コマとダルマについて記します。
参考資料
国立民族学博物館. 『月刊みんぱく・2019年1月号』. 東京:毎日新聞社, 2019.
WILLこども知育研究所. 『むかしからつたわる遊び・こまを楽しむ』. 東京:金の星社, 2019.
WILLこども知育研究所. 『むかしからつたわる遊び・たこを楽しむ』. 東京:金の星社, 2019.