公開日 2021年01月21日
2021年1月20日、本学科教員(赤澤直紀講師)と河西田村病院、
貴志川リハビリテーション病院との共同研究論文が学術雑誌 理学療法学に受理されました。
「理学療法学」は日本理学療法士協会が年6回発刊している有名雑誌で,
国内の理学療法関連の雑誌では最難関と言われています。
【論文タイトル】
高齢肺炎患者の嚥下能力には大腿四頭筋の筋内非収縮組織量が関連する:横断研究
【著者】
貴志将紀、日野斗史和、石本泰星、田村公之、赤澤直紀
【研究概要】
近年、高齢入院患者の嚥下能力には大腿四頭筋の筋内非収縮組織量が関連することが報告されています。
しかし、サルコペニアの罹患率が特に高い高齢肺炎患者で同様の関連が存在するかどうかは不明でありました。
本研究では,高齢肺炎患者における嚥下能力と大腿四頭筋の筋内非収縮組織量との関連を調査しました。
年齢、性別、栄養状態、炎症状態、投薬数、合併症などの交絡要因で統計学的に補正し、解析した結果、
高齢肺炎患者の嚥下能力と大腿四頭筋の筋内非収縮組織量との間には負の関連が存在することが明らかとなりました。
一方、大腿四頭筋の筋量と嚥下能力との間には関連は認められませんでした。
これら結果は、高齢肺炎患者の嚥下能力を改善するうえで、
大腿四頭筋の筋内非収縮組織量に対する介入が必要であることの可能性を示していると考えます。
今後は介入研究を実施することで、これら因果関係を明らかにしていきたいと考えます。
【赤澤講師からのコメント】
本論文は臨床の先生方が中心となり執筆されました。
論文が受理されるまでの道のりは大変険しいものでしたが、臨床で生じた疑問を精査し、結果を論文にする事は非常に重要と考えます。
日々の臨床の中で感じる疑問の中にこそ、研究で解決すべき重要なテーマが存在すると考えます。
そして、臨床の先生方と大学教員の協働での研究活動こそが理学療法学の発展に不可欠になると考えます。
引き続き微力ではありますが、臨床の先生方の研究・論文執筆のサポートができればと考えます。