公開日 2024年01月19日
前回は、恵比寿さまのモデルとなった要素が複数存在することを説明し、
その中で、彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)や阿曇磯良(あずみのいそら)という、
海に関係する神様を紹介しました。
前者は、初代・神武天皇のおじいさんにして、山幸彦[ヤマサチヒコ]の別名で
浦島太郎の物語の原型になっている人物であり、
後者は海人(あま)の統率者・その先祖にして、
亀に乗って海を渡ってくるという言い伝えがあります。
どちらも、上の絵にあるような、亀に乗って海を旅するイメージがありますが、
ここでもう一人、恵比寿さまに関係する神様を紹介します。
宇豆毘古命(ウヅヒコノミコト)という、
いかにも渦潮を連想させるような名前の神様ですが、
この方も亀に乗って海を渡ってくるとされ、
岡山市東区にはそれに基づく亀石神社があります。
そして、えびす神社総本社である西宮神社の、
境内社として存在する沖恵美酒神社は、
現在、恵比寿さまの荒ぶる魂を祭っていますが、
その前は、宇豆毘古命が祭神だったのではないか、
という説があります。(西宮神社に、今のところ
その記録が見つからないので、決定的な証拠はないということですが。)
彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)、阿曇磯良(あずみのいそら)、
そして宇豆毘古命(ウヅヒコノミコト)のいずれも、恵比寿さまのモデルは
浦島太郎的で、亀に乗っているイメージがあります。
そして、ここで新しい恵比寿さまのモデルを紹介しましょう。
東京・神田明神(かんだみょうじん)の
少彦名命(すくなひこなのみこと=一寸法師[いっすんぼうし]の物語の原型)です。
神田明神は東京の中心部にあり、七五三の発祥地としても有力な候補地とされ、
江戸時代から現代に至るまで大変人気のある神社ですが、
2005年に、海の荒波から姿をあらわす、斬新な少彦名命像が作られました。
同社のHPでも、この像はえびす様と呼ばれています。
一寸法師の物語を思いだせば、
絵のように、船をこいでいるイメージがあります。
恵比寿さまは、浦島太郎も、一寸法師もその要素として取り込んでゆくのでしょう。