公開日 2020年04月06日
本学科教員の赤澤直紀先生(講師)の研究課題「筋内脂肪量の増大が予後に与える影響の解明:高齢入院患者での検討」が科学研究費助成事業(若手研究)に採択されました。
科学研究費助成事業とは人文学,社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり,基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」です。
非常に厳しい審査を経て独創的・先駆的な研究に対して助成されるものです。
今回採択された研究の概要と目的を紹介致します。
本研究の概要と目的
2018年に発表された世界規模の低栄養診断基準では,筋量の減少が,重要な現症の一つとして位置づけられています(Cederholm T et al., Clin Nutr, 2019)。
一方,我々はこれまでに,高齢入院患者の筋内脂肪量の特徴を横断的に調査してきました。
それら成果として,高齢入院患者の大腿四頭筋の筋内脂肪量の増大は,重度低栄養リスクと関連すること,さらにそれらは,筋量の減少よりも,嚥下機能と歩行自立度の低下に関連することを見出しました(Akazawa N et al., Nutr Res, 2019; Akazawa N et al., Nutrition, in press; Akazawa N et al., Clin Nutr, in press)。
これら結果は,筋内脂肪量の増大は,筋量の減少よりも,高齢入院患者の予後に悪影響を与える可能性を示しています。
本研究では,その可能性を検証するため,高齢入院患者における筋内脂肪量の増大と日常生活動作能力,在宅復帰率および生存率の低下との縦断的関連性を明らかとします。
これら関連性を明らかとすることで,高齢入院患者の低栄養の議論において,筋量の減少よりも,筋内脂肪量の増大に着目する重要性を提示します。
赤澤直紀先生からのコメント
本研究課題を遂行し、学術的また社会的に価値のある知見を創出して参りたいと思います。